戸建て住宅で一番地震に強い工法はどれか?
- 2021.02.06
- 不動産
■戸建て住宅で一番地震に強い工法はどれか?
(一般的な住宅の1階建て~3階建て程度で検討)
・各工法の特徴〈RC造、SRC造、S造、木造〉
・工法のメリット(戸建て住宅の場合の)
・工法のデメリット(戸建て住宅の場合の)
・各工法の地震に対しての抵抗力
・地震に対しての総合評価(コスト抜き)
・地震に対しての総合評価(コストを踏まえ)
・まとめ
■地盤改良、杭打ちをしなくて良い土地でも、することでさらに強度は増すのか?意味がないのか?
・効果を検証
・まとめ
【鉄筋コンクリート造】
〈特徴〉
鉄筋コンクリート構造とは鉄筋(鉄の棒)で組んだ骨組みに、
型枠にコンクリートを流し込んで肉付をした構造になります。
一般的にRC造と呼ばれます。
壁式構造(柱が無く、壁で支える構造)とラーメン構造(柱と梁で支える構造)に分けられ、
住宅の場合だと柱が無く空間を有効に使いやすい壁式構造の場合が多いです。
ラーメン構造は高層のマンション等に多く採用されています。
ラーメン構造の場合、柱の間隔は10m程度が最大です。
〈鉄筋コンクリート造のメリット(戸建て住宅の場合)〉
材料のコンクリートは耐火性・耐久性に優れ、遮音効果や防音効果が高く、
とても丈夫で住宅としての居住性・資産価値も高いです。
楽器を室内で演奏したい場合等も最適です。
建物の重量もある為、台風などの災害にも強いです(沖縄の住宅は台風対策でほぼRC造です)。
コンクリートを流し込んで作る為、建物の継ぎ目が無く気密性も高いです。
形を自由に作れるので、見た目もモダンでおしゃれな雰囲気にしやすく、
特徴的な建物にしやすい事も魅力の一つです。
設計・施工技術が発達しているので、建物の品質を確保しやすいです。
〈鉄筋コンクリート造のデメリット(戸建て住宅の場合)〉
建物が丈夫である反面、重量が重くそれを支える為に強固な地盤が必要になります。
地盤の状況によっては地盤改良、杭打ちのコストが大きくなる可能性があります。
また断熱性が木造等に劣る為、断熱材や冷暖房のコストがかかる場合があります。
しかしコンクリートの蓄熱効果を上手く利用して設計に活かせた場合はメリットになる可能性もあります。
気密性が高い分、設計段階から使い方土地の特徴を踏まえて検討をしておかない場合、カビや湿気が発生する可能性
があるので注意が必要です。
建物を建てる際の工期が長く、材料も木造等に比べると高く建設コストが高いです。
建物を作れる会社も木造に比べると少ない事もあり、値段を下げにくいという事もあります。
建物が丈夫な分、解体が必要になった場合は大型の重機が必要であったり廃材を捨てるコストも木造等に比べるとコストが高くなります。
〈鉄筋コンクリート造の地震に対しての抵抗力〉
鉄筋コンクリート造は材料のコンクリートの配合や骨組みの鉄筋の間隔・強さを変える事で、
強さを自由に設計するが出来ます。それによって同じ柱のサイズや壁の厚さでもより強い建物を作る事が出来ます。
また、建物が継ぎ目無く一体化し、建物全体で地震に抵抗をする事が出来ます。
コンクリートの圧縮力に強い性質と鉄筋の引張りに強い特徴を併せもって効果的に地震に抵抗します。
・鉄筋コンクリート造の地震に対しての総合評価(コスト抜き)
5(5段階中)
コストを考えなければ、材料の強さを変える事が出来る為、
とても強い住宅にする事も可能。
地盤補強なども十分に対策をし、理想的な建物に出来る可能性がとても高いです。
公共施設や行政の重要施設等がRC造の場合が多いのはその為です。
・地震に対しての総合評価(コストを踏まえ)
4(5段階中)
やはり地盤補強が必要になる可能性が高く、工期も長い事から
高コストになる事が懸念されます。
しかし地震にとても強く出来る事や耐久性がある事から設備の更新を設計段階階から
配慮をして資産価値の高い家にして価値を落とさない建物にする事も可能ですので、
それまで考慮するとコストパフォーマンスも高いと考えることも出来ます。
【鉄骨鉄筋コンクリート造】
〈特徴〉
鉄骨鉄筋コンクリート造とは鉄で出来た骨組みに、
型枠を組んでコンクリートを流し込んで肉付をした構造になります。
一般的にSRC造と呼ばれます。
RC造と違い、骨組みを鉄骨で作る為に柱や梁を小さくする事が出来ます。
鉄骨構造とRC構造のメリットを併せ持ち、柱の間隔も
15m程度まで広げることが出来ます。
SRCの場合はラーメン構造が基本となります。
〈鉄骨鉄筋コンクリート造のメリット(戸建て住宅の場合)〉
RC造と同様に材料のコンクリートは耐火性・耐久性に優れ、遮音効果や防音効果が高く、とても丈夫で住宅としての居住性・資産価値も高くなります。気密性が高く、風や振動にも強いです。
15m程度まで柱の間隔を広げる事が出来る為、大空間を作る事が出来ます。(大きなリビングや1階の駐車場等)
〈鉄骨鉄筋コンクリート造のデメリット(戸建て住宅の場合)〉
RC造とほぼ同様になります。
加えて、鉄骨鉄筋コンクリートは高い設計力・施工技術が必要な為、RC造より更に高コストとなります。工期もRC造よりも長くなります。
また、ラーメン構造が基本となる為に狭小住宅等には向かず、ある程度大きな住宅で無ければプランや使い勝手に支障が出る
可能性が高くなる事にも注意が必要です。
・鉄骨鉄筋コンクリート造の地震に対しての総合評価(コスト抜き)
5(5段階中)
RC造と同様に、とても強固な建物を作る事が出来ます。
鉄骨造とRC造の特徴を併せ持つ為、コストを考えなければ
RC造以上の要塞の様な建物を作る事も可能です。
・鉄骨鉄筋コンクリート造の地震に対しての総合評価(コストを踏まえ)
3(5段階中)
非常に強固な建物を作る事が出来ますが、
RC造以上に高コストとなり、工期が長くなってしまいます。
(工期が長くなると、施工の経費が掛かりコストUPになります)
また、上記の理由から採用される事が少ない為に設計・施工を出来る専門業者が少なく建物の品質確保の面でも注意が必要で、
信頼できる業者を探す事も簡単にいかないと予想されます。
しかしRC造と同様に資産価値の高い家に出来る可能性が高いです。予算がとても潤沢にあり、大きな住宅を検討出来る方には向きますが、
一般的な規模の住宅を検討する場合は適切な選択肢にならないと考えられます。
【鉄骨造】
〈特徴〉
鋼材で出来た柱や梁で骨組みを組んで外壁材で包んで、
建物を作っています。
一般的にS造と呼ばれます。
使う材料の種類で「重量鉄骨造」と「軽量鉄骨造」の2種類があります。
住宅の場合だと大手のハウスメーカーで多く採用されている構造になります。
柱の間隔が20m程度まで広げる事も出来、無柱の大空間を作る事も出来ます。
〈鉄骨造のメリット(戸建て住宅の場合)〉
建物の重さがRC造に比べると軽く、地盤の負担は少なくなるので杭や地盤改良の費用を減らす事が出来る可能性があります。
柱の間隔を広く出来るので、プランが作りやすい事もあります。
RC造に比べると工期が短いのでコストを減らす事が出来ます。
〈鉄骨造のデメリット(戸建て住宅の場合)〉
材料の鋼材が熱を伝えやすく、断熱性が良くないです。注意しなければ、
夏熱く、冬に寒い家になりがちです。結露も発生しやすいです。
また材料の特性上、振動しやすく揺れやすいので遮音・防音性が低く、
居住性が良くないです。
材料の鋼材が高価なので、建築コストが木造に比べると割高になります。
・鉄骨造の地震に対しての総合評価(コスト抜き)
4(5段階中)
材料が工場で生産される為、品質が安定しています。
適切な設計と工事がされていれば地震に対してとても大きな抵抗力を
発揮します。またRC造・SRC造よりも建物の重さが軽い為地盤への負担が
少ない事も利点です。
しかし、材料の特性上揺れやすいので地震の際に内装材を痛めたりする可能性は
RC造・SRC造より高いです。
大手住宅メーカーであれば揺れを抑える為の「制揺ユニット」等があり、それらを利用すれば
揺れに対してはある程度解消出来ます。
・鉄骨鉄筋コンクリート造の地震に対しての総合評価(コストを踏まえ)
3(5段階中)
重量鉄骨造の場合だとオーダーメイド、軽量鉄骨の場合だと大手住宅メーカーが基本となる為、
コストが高くなる要素が多いです。
地震に対して強度は十分にあるが揺れやすい事から、大事な家や家財等を十分に守れるかという
視点で考えると評価は下がります。
また、住宅としての居住性が低くなりがちな点も見過ごせません。
【木造】
〈特徴〉
日本で住宅をつくる際に最も一般的な工法です。
柱と梁を組み合わせてつくる「軸組工法(在来工法)」と「枠組壁工法(2×4)」があり、
近年では木造技術の発達によりより強固な「木造ラーメン構造」等もあります。
どの工法が良いかは希望の条件によって一概にどれが良いとも言えませんが、「軸組工法(在来工法)」は
自由度が高い、「枠組壁工法(2×4)」は品質が安定している、「木造ラーメン構造」は大空間等が特徴になります。
材料の木材は無垢材(木材をそのまま切り出した材)、集成材(エンジニアウッド)がありますが、
構造材としては集成材(エンジニアウッド)が適切な選択です。
柱の間隔は、一般的に流通している材料であれば6m程度まで広げられます。
〈木造のメリット(戸建て住宅の場合)〉
建物の重さが軽く、地盤に負担が小さいので杭や地盤改良の費用を減らす事が出来ます。
一般的な住宅の場合だと柱の大きさもRC造やS造よりも小さくなるので部屋の中がすっきりとします。
デザインの自由度も高く、細かい使い勝手にも対応しやすいです。
材料の木材に湿度を調整出来る効果があるので結露がしにくく、RC造・S造等に比べて断熱性も高いです。
各メーカーから木造住宅専用の仕上げ材料や窓、設備が数多く用意されていて高性能でリーズナブルなものを
採用出来る事も他の構造には無い大きなメリットです。
〈木造のデメリット(戸建て住宅の場合)〉
材料の木材が自然由来のものなので品質にバラつきがあります。
特に無垢材は材料により弱いものがあったりしますが、集成材(エンジニアウッド)で
あれば科学的な考えで欠点を解消しているので問題ではありませんが。
また、家を建てる職人の腕や施工会社の技術力によって家の耐震性や断熱性が左右されて
しまう事もあります。
最も大きな問題としてはシロアリの被害があります。
状況によってはシロアリに構造材が食べられてしまい、十分な強度を保て無くなってしまう
可能性があります。定期的なメンテナンスや家を良好に保つ意識が欠かせません。
また火災保険の金額がRC造・S造より高くなる場合が多いです。
2階建てまでは建物の構造計算が必須では無い為、構造計算を行っていない業者が多く建物の性能が劣る場合がある。
・木造の地震に対しての総合評価(コスト抜き)
3(5段階中)
木造でも大地震で倒壊をしない十分な強度とする事が出来ますが、
RC造・S造等がコストをかけるとより強度を上げられますが木造の場合は
同じようには出来ません。
また適切な維持管理が出来ていないと、シロアリの被害で大きく強度が低下してしまう事
もあげられます。
・木造の地震に対しての総合評価(コスト抜き)
4(5段階中)
住宅としての耐震性は十分に確保できる事や、建物が軽く地盤への影響を少なく出来る事の評価は高いです。
材料自体も他の構造に比べると安価です。
シロアリに対しては、家の通気をとれる設計にして乾燥させる事や庭に木材等を置かない(木材が腐って蟻を呼ぶ)事や
定期的に薬剤を散布(家の周りに薬剤の注入用のパイプを設けて土壌に散布出来るシステムがおすすめです)する事で
対策をする事が出来ます。
近年は木造の技術力も高まっている為、
優秀な設計事務所・施工会社に家をつくってもらう事が出来れば満足度の高い家に仕上げる事が出来ます。
(業者の質にバラつきが大きいので重要な点です)
階建てまでは建物の構造計算が必須ではありませんが、性能確保という点から費用はかかりますが構造計算をしっかりと行い、
設計をしてもらう事も重要です。
課題はありますが、住宅としての居住性の高さや専用の仕上げ材料や窓、設備が選べるコストパフォーマンスの高さから、
限られたコストで建築する場合は有力な選択肢と言えます。
【まとめ】
コストが潤沢にある場合は、耐震性の他に、耐火性、居住性が高く
資産価値もあるRC造がおすすめです。RC造は技術の発達・設計・施工業者の多さから
SRC造よりも良い住宅になる可能性が高いです。
限られたコストの中では建てる際・建てた後も注意が必要ですが木造がおすすめです。
良い設計・施工が出来れば大地震に耐えられ、快適な住宅をリーズナブルに手に入れる事が出来ます。
■地盤改良、杭打ちはしなくて良い土地でも、することでさらに強度は増すのか?意味がないのか?
十分な地耐力(地盤が重さに耐えられる強さ)をもち地盤改良、杭打ちはしなくて良い土地に対して、
何らかの対策をする事で効果があるかを検討してみました。(コストパフォーマンスが高いか低いかは別にして)
・地盤調査は点で5か所(建物の4スミと中心)が多いのでおおよその想定になってしまう。
よって敷地内の地盤が弱いところを見つけられていない可能性がある事に対しての保険となり得る事。
・液状化(砂質土が地震の振動で液体になる)対策
十分な地耐力があったとしても、液状化対策の為に効果がある
(水の流れる道をつくり土地の資産価値を下げない天然採石パイル工法がおすすめです)
・地下水等の減少や有機質土による圧密沈下の防止
土地が粘土質だったり、地盤の表面が十分な地耐力があった場合でも下部に有機質土がある場合、
地盤全体が沈む圧密沈下が発生する可能性があります。対策としては岩盤等の層まで杭を打ち込めば、
沈下を防ぐ事が出来ます。
・建物が浮き上がる事を防止
地震等の際に建物に浮き上がる力が発生する場合もある為、建物と地盤を一体化させる為に、
杭を打ち込んで基礎とつなげておく事で防止する事が出来ます。
・造成地で切土・盛土が入り混じっている土地の不同沈下対策
山を削りだして造成した土地は平らな部分をつくる為に、切土・盛土が入り混じっている場合があります。
切土と盛土は地耐力が違う場合が多く、盛土の部分が沈下したり、切土と盛土の境目の部分で地盤が滑り
不同沈下が起きる可能性があります。対策としては岩盤等の層まで杭を打ち込み建物とつなぐ事で防止する事が出来ます。
【まとめ】
地盤改良、杭打ちをしなくて良い土地でも、することでさらに強度は増すのか?意味がないのか?に対しては、
コストパフォーマンスが高いか低いかは別にして効果はあります。
ただし、杭打ち等をした際には土地の資産価値が下がる(新しく建物を建てる場合に杭の解体費がかかる為)
可能性がある事を念頭におく事にも注意が必要です。
参考までに20から30坪くらいの地盤改良の値段は50から80万くらいです。
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